活動内容

取組中のたたかい

雇用延長差別裁判不当判決

2019年10月24日、東京高等裁判所民事第14部(後藤博裁判長)は、定年後の控訴人ら3名に対する雇用延長差別を容認し控訴人らのバス運転士としての労働契約上の地位を認めないばかりか損害賠償請求も認めない判決を下した。労働者の働く権利をないがしろにする不当判決であり断固として抗議する。
本件は入社以来30年前後にわたってバス運転士として働いてきた控訴人ら3名について定年後、希望するバス運転士の仕事を取り上げひたすらバス車両の清掃業務に従事させ賃金も生活秩序以下の著しい低額で定年前の年収の30%以下とする酷い扱いに対して控訴人らがバス運転士(継匠社員)としての地位確認と損害賠償の支払いを求めて提訴した事件である。

このように控訴人ら3名に対する扱いについて判決は「高齢者等の職業の安定その他福祉の増進を図る」ことをかかげた高年齢者雇用安定法の趣旨に反する不合理な差別であることを看過しその違法性を否定した。とりわけ本件において会社は旧高年法のもとで定年後継続する雇用をバス運転士としていたものを2012年に同法が改正されて希望者全員の義務付けられるようになるとひたすらバス車両の清掃業務に従事させる再雇用社員制度を設け、控訴人らに適用したものであるがこのような著しい不合理も容認してしまった。理不尽極まりない判決である。

しかも本件の雇用延長差別はバス関連支部(以下「京王新労組」)の現職の執行委員長と中心的な活動を担ってきた控訴人ら3名に対する不当労働行為であり組合としては労働委員会に救済を申し立てて係争中であるが、控訴人らは本訴においても不当労働行為による違法行為として争ってきた。京王新労は、2001年に京王電鉄と連合労組が合意した大幅な労働条件変更を伴うバス部門分社化に反対して結成された労働組合であり、会社から様々な組織破壊、差別攻撃を受けている。会社の業務引き継ぎ文書においては組合員に対する差別的な査定を継続するよう指示したり、組合員について「許されるなら中央線の線路に突き落としてください」と記載するなど会社は徹底して京王新労を敵視している。しかるに判決は本件の雇用延長差別について不当労働行為と認めず地位確認はもとより慰謝料の支払いも退けた。原判決はこの点においても到底容認できるものではない。

我々は本判決の見直しを求めて上告するとともに控訴人らをバス運転士として復職させ京王新労に対する不当労働行為をやめさせるために闘うものであり会社に対して争議を全面解決するよう強く求める。

東京都労働委員会執行委員長雇い止め阻止実効確保

令和元年(不)第79号事件

バス関連支部京王新労組執行委員長は継続雇用の延長を求めていました。京王は運転士不足で70歳を超えてまで雇用している実態があるにもかかわらず、執行委員長の雇い止めを強行し京王から排除しました。

バス関連支部京王新労組は不当労働行為だとして、東京都労働委員会に救済申立と実効確保の申立を行っています。初回調査は2020年1月14日に行われ、委員長の雇い止め審理を先行させることを確認しました。都労委からは和解の模索も言及されています。

中央労働委員会不当命令取り消し訴訟

令和元年(行ウ)第384号事件(会社側)

令和元年(行ウ)第556号事件(組合側)

建交労・京王新労組争議で中労委は2019年6月22日に一部、定年後の再雇用(任用社員)について不当労働行為を認定し、ポストノーチスを命じました。しかし、賃金・昇格差別については認めない不当命令でした。

会社は一部の不当労働行為の認定すら嫌がり、7月には命令取り消しの訴訟を通告してきました。組合側も同様に10月23日に提訴し、第一回が12月23日に第二回が2月17日に傍聴席がほぼ満席となった法廷で行われました。組合と会社の別の裁判ですが、その後には併合される予定のもので重要な闘いとなります。 

中労委は団体間(連合労組組合員と新労組組合員間)に有為な格差があることを認めました。また、会社の不当労働行為意思の存在も認めています。しかし、会社の賃金制度を能力型賃金だとし、この格差を能力が会社評価で低いから不当労働行為ではないとしたものです。この能力とは残業を多くすること、運転中に肉声でマイク放送を多くすることだとしています。

組合は長時間労働の是正と安全運行のために運転に集中することを方針として掲げています。この方針に従っているために能力が低いというのです。組合方針を曲げさせるために設けられた評価制度が合理的だとしています。

残業を減らし、安全運行を優先し、実際に組合員たちは30年近く無事故で会社から表彰、警視庁交通部長賞、警察署長賞も受けていて無遅刻無欠勤であるにもかかわらず成績が悪くなる評価制度自体が問題です。

このような会社側を支持する不当命令を取り消すために、建交労東京都本部バス関連支部京王新労組は闘っています。